ズキンズキンと脈を打つような痛みが特徴の片頭痛は、様々な誘発要因によって引き起こされます。
痛みの原因や片頭痛が起きた時の対策や予防法などについて、舟久保恵美先生に解説していただきます。
片頭痛の原因とは?
片頭痛の原因は明らかになっていませんが、季節の変わり目や普段の生活の中での温度変化は頭痛の誘発要因とされています。
主に片頭痛は女性20代~40代に多く見られ、生理の前後に片頭痛で悩まされる女性が少なくありません。
またストレスを受けている状態は、血管は収縮している状態になりますが、緊張から解放された時は、急に血管が拡張することによって片頭痛が起こるとされています。
誘発要因として、月経や排卵・産後・更年期などの女性特有のもがあるほか、空腹やアルコール摂取後、寝不足や寝すぎ、強い光やにおい、天候・温度・気圧・湿度の変化なども関係があります。
個人やその人の状況によって異なります。
片頭痛(偏頭痛)が起きた時の対策
頭痛の種類によって、正しい対処法、間違った対処法があるのをご存知でしょうか。
詳しく解説して頂きます。
片頭痛(痛みのある時) | 緊張型頭痛 | |
耳マッサージ | 〇 | 〇 |
整骨院・鍼灸 | × | 〇 |
冷やす | 〇 | × |
温める | × | 〇 |
運動 | × | 〇 |
お酒 | × | 〇 |
カフェイン | △ | 〇 |
光を避ける | 〇 | 〇 |
耳せん | 〇 | 〇 |
アロマ | × | 〇 |
食事をとる | 〇 | 〇 |
耳マッサージをする
内耳にセンサーがあると考えられていますので、耳の周囲の血流を良くする事で、どの頭痛にも良いと思います。
気圧が下がってきたなと感じるときには、やっておくといいと思います。
整骨院や鍼灸にいく
片頭痛は、血流がよくなることで誘発されるおそれがあります。
マッサージや鍼灸をして血流が良くなると、それで頭痛がひどくなることがあります。
ズキズキしていない時、頭痛の予兆や前兆のない時に、日常的にこりを解消してあげるために行くといいでしょう。
冷えピタ、アイスノン、冷却シートなどで冷やす
痛い場所は、人それぞれ違うと思います。冷やして気持ちいいと思える場所を冷やしてください。
お風呂やホットタオル、温湿布などで温める
片頭痛は、血流がよくなることで悪化してしまうおそれがあります。
痛みのあるときは、温めるより冷やす、浴槽につかるより、シャワー程度にした方が良いと思います。
ストレッチや軽い体操、ヨガなどをする
軽い体操で血流が良くなると、頭痛が悪化する場合があります。頭痛発作が起きた時は、なるべく静かで暗いところで休み、痛むところを冷やす方が良いです。
ただ、軽い運動は片頭痛予防にもなるので、痛みのない時に日常的なケアとして行うことをおすすめします。
お酒を飲む
少量のお酒はリラックス効果もあるのですが、頭痛の前兆のある時や、気圧が下がっている時などは、血流が良くなることでと痛みが増してしまうおそれがあります。片頭痛の方は気を付けたほうが良いです。
また、赤ワインに含まれるポリフェノールが頭痛を誘発されるおそれがあるので、選ぶお酒の種類にも注意が必要です。
お酒には利尿作用があり、脱水により頭痛が起こることもありますので、たくさん水を飲むようにしましょう。
コーヒーや紅茶、お茶などでカフェインを摂る
片頭痛については、カフェインで良くなる人もいれば、悪くなる人もいます。
カフェインは血流を良くするので、過剰には取らないほうが良いと思います。
片頭痛が悪化する場合もありますが、その反面で、血管収縮作用もあるので、片頭痛がよくなる人もいます。
ご自身の症状に合わせて、過剰に摂りすぎることのないように気をつけましょう
また、利尿作用があるので体が水分不足になる可能性があります。
熱中症の時も同じで、体から水分が少なくなると頭痛が起きやすくなります。
リラックスできるくらいの量におさえた方が良いでしょう。
明るい光を避ける、部屋の明かりを落とすなど
片頭痛の方は明るい光が頭痛を誘発、また増悪する要因にもなります。
サングラスをかけたり、部屋の明かりを柔らかい暖色系の明かりにすると軽減されるという方も多いです。
片頭痛が起きているときには、暗く静かな部屋で休むようにしましょう。
気象病用の耳栓などをする
飛行機に乗るときにしておくと、耳への気圧の変化が緩やかになるという効果はあります。
普段の生活の中でエレベーターに乗って気圧差を感じる方もいるので、気になる時にはつける、というふうにお守り程度に持っておくと安心かと思います。
アロマを炊く、アロマオイルを塗るなど
リラックス効果としては、ご自分の好きな香りなら良いと思います。
ただ、片頭痛は匂い過敏という症状があり、ちょっとした香りでも頭痛を誘発する恐れもあります。痛みの起こりそうなときや頭痛が起こっているときには、避けるほうがよいでしょう。
柔軟剤や化粧品・香水売り場が苦手な方もいます。
ローズ系とか、ムスク系よりも柑橘系なら大丈夫という方は多いですが、個人差が大きいので、周りに配慮し、体調と相談しながら、上手に活用してください。。
空腹を避ける
お腹が空くと血糖値が下がり、片頭痛が起こる方は結構多いです。
自分がそのタイプだと気が付くことが大事ですね。
頭痛に良い食べ物としては、マグネシウムや亜鉛が入っている海藻類などがおすすめです。
片頭痛を誘発しやすい食べ物としてはチョコレート、赤ワインなどのポリフェノールが含まれているもの、またチーズで頭痛を起こす方もいます。
片頭痛の予防法
片頭痛の方は、先ほどもご説明したように、いろんな要因で頭痛を誘発するおそれがあります。
痛くなったら静かな暗いところで安静にして、痛みのあるところを冷やしましょう。
階段の昇り降りだけでも、ズキズキしてしまいます。
無理に体を動かしたり、血行が良くなるような行動は控えましょう。
また日頃から食事を改善するのも良いでしょう。
マグネシウム・・・玄米・納豆・ヒジキ等に多く含まれ、神経細胞の機能を調整する作用があります。
ビタミンB2・・・牛・豚のレバー・卵黄等に含まれ、マグネシウムと同じように神経細胞の機能を調整する働きがあります
頭痛がない時には、軽く体を動かしたり、またストレスをためないようリラックス出来るにしましょう。
これらに気を付けて頂くこと、またどんな時に痛みが出るのかを把握することが大切です。
小まめに自分の体調や、天気・気圧の状況などを記録しておくことも大切です。
舟久保 恵美
慶應義塾大学医学部神経内科非常勤講師/医学博士/保健師/健康気象アドバイザー
名古屋大学環境医学研究所にて、天気と痛みの関係について研究し、医学博士号を取得。
日本で唯一の低気圧頭痛を専門にする産業保健師(現在、内田洋行グループ企業の従業員の健康管理を行っている)。