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気象病の基礎知識

自律神経を整える!12秒呼吸法

姿勢から改善!自律神経を整えて疲れ知らずに

現代人のライフスタイルでは、パソコンやスマホの使い過ぎで姿勢が悪くなってしまいがちです。姿勢が悪いと骨格がゆがんで、肺が圧迫されて短く浅い呼吸になります。そうすると、体のすみずみに十分な酸素が行きわたらず、酸欠状態になってしまいます。
酸素不足状態が続くとストレスの原因になるだけでなく、常に交感神経(緊張モード)が優位の状態になってしまい、自律神経が正常に機能しなくなったりバランスが崩れたりしてしまいます。

姿勢が悪い⇒体調の悪化という負のスパイラルを断ち切るためにも、骨格のコンディショニングは大事です。姿勢が良くなる⇒自律神経が整う⇒体調が良くなり、疲れにくくなります。精神的にも安定し、イライラが減ります。姿勢を整えるように普段から意識してみま
しょう。

成人の場合は、1分間に12~20回程度呼吸していると言われています。平均15回/分とすると、1時間で15回×60分=900回、1日では900回×24時間=21600回ともなります。1日に2万回以上もゆがんだ姿勢で呼吸していると、さらに骨格のゆがみが悪化することは想像できますよね。

◆自律神経を整える!12秒呼吸法

呼吸と肋骨・背骨の動きは連動しているので、骨格がゆがんでいると肺が圧迫され、体に十分な酸素が行き渡らなくなります。
意識して正しい呼吸を定期的に行うことで、ゆがんだ骨格をリセットしましょう。

胸式呼吸は交感神経を優位に、腹式呼吸は副交感神経を優位にする効果があります。集中したい時は胸式、リラックスしたい時は腹式というように呼吸を使い分けるのも手です。

【胸式呼吸】

  1. 胸下に手を添える。肋骨が上がるのを感じながら、3秒ほどかけて鼻から軽く息を吸う。
  2. そのまま3秒ほど息を止めたら、肋骨を下げるように6秒ほどかけて口から「フゥー」と吐く。

【腹式呼吸】

  1. お腹に手を添える。お腹が膨らむのを感じながら、3秒ほどかけて鼻から軽く息を吸う。
  2. そのまま3秒ほど息を止めたら、お腹と背中がくっつくイメージで6秒ほどかけて口から「フゥー」と吐く。
この記事の監修者
久手堅 司(くでけん つかさ)

せたがや内科・神経内科クリニック
院長・医学博士
日本内科学会 総合内科専門医/日本神経学会 神経内科専門医/日本頭痛学会 頭痛専門医/日本脳卒中学会 脳卒中専門医。
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ライフスタイル

冬はやる気が出ない? 「冬季うつ」という病気は本当に存在するのか

「冬になるとネガティブ思考になる」「冬季うつかもしれない」といった投稿が話題になっています。「冬季うつ」という病気は存在するのでしょうか。

「冬季うつ」は存在する?

「冬になるとネガティブ思考になる」「この季節は何もやる気が起きない」「冬季うつかもしれない」といった投稿がネット上で話題になっています。「冬季うつ」という病気は存在するのでしょうか。また、通常の「うつ病」とは何が違うのでしょうか。精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。

「冬眠」のようなうつ状態

Q.冬季うつとは、どういうものでしょうか。症状や原因、なりやすい人を教えてください。

田中さん「冬季うつとは、動物の冬眠のようなうつ状態です。パンやお菓子などの炭水化物を大量に食べる、疲れっぽさが抜けない、やる気が出ない、気分が晴れないなどの症状がみられます。医学的には、秋から冬にかけて日照時間が減少し、脳内のセロトニンの働きが弱まってくることが原因の一つと考えられています。

ちなみに『秋から冬にかけて、いまいち調子が出ない傾向』は誰にでも経験がありますし、どのような人が冬季うつになりやすいかを証明したデータはありません」

Q.冬季うつとは、そもそも病気なのでしょうか。

田中さん「冬季うつ、というと先述した『秋から冬にかけて、いまいち調子が出ない傾向』を含みますので、一概に病気であるとは言えません。しかし、まさに動物の冬眠という言葉がぴったり合うような、数週間以上にわたって(ひどいと何カ月も)寝込んでしまう状態に至ることがあり、病気と診断される場合があります。

冬季うつの人が病気と診断されるには、まずはアメリカ精神医学会の基準などに従って、うつ病と診断される必要があります。同学会の基準では具体的に、憂鬱(ゆううつ)な気分、意欲の低下、『申し訳ない』という自責感、『消えたい』『死にたい』という気持ちなど、9項目中5項目以上の症状が2週間以上にわたって持続することが確認されます。

その上で、毎年のように冬になると寝込むという『反復性』と、次の5点にまとめられる『季節型の特徴』が確認されなければなりません。それは(1)気力の減退(2)過眠(3)過食(4)体重増加(5)炭水化物渇望です。病気レベルの冬季うつの場合、広く『季節性感情障害』、あるいは『季節性うつ病』という病名で呼ばれることもあります」

Q.通常の「うつ病」とはどう違うのでしょうか。

田中さん「通常のうつ病の場合、不眠、食欲低下、体重減少が典型的にみられます。ところが、冬季うつの場合、特に季節性うつ病を発症した場合、通常のうつ病とは逆で、過眠、過食、体重増加がみられるのが特徴です。

その点を医学的に詳しく解説しましょう。私たちの体には、活動しているときに働く交感神経とリラックスしているときに働く副交感神経の2種類の自律神経があります。心身にストレスがかかり、脳内のセロトニンの働きが完全に弱まると、うつ病を発症するわけですが、それと同時に自律神経もバランスを崩してしまうのです。

そして、通常のうつ病の場合は交感神経が異常興奮し、眠れない、食べられない、体重が減少するという症状がみられ、季節性うつ病の場合は逆に、副交感神経が異常興奮し、寝過ぎる、食べ過ぎる(特にパン、ご飯、お菓子などの炭水化物を大量に食べる)、体重が激増するという症状がみられます」

Q.治療はどのようにするのでしょうか。

田中さん「冬季うつの対策は、何よりも日光を浴びることです。カーテンを開け、ブラインドを上げ、部屋の中に日光を取り込むことから始めましょう。できれば、日中は散歩、買い物などで外出するとよいでしょう。

その際、スマホや携帯電話を見ながらうつむいて歩くのはやめましょう。ある研究では、顔を上げて街の景色を見ながら、大股でゆっくり呼吸を意識して歩くようにすると、うつの気分が晴れることが分かっています。

季節性うつ病と診断された場合には、通常のうつ病に準じて治療が進められます。ただし、休養と投薬治療以外にも、冬季うつの対策として挙げたように、日光を浴びたり、ゆっくり散歩したりするなどして少しずつ活動性を上げていく工夫が必要になります」

Q.医療機関を受診した方がよいのは、どのような場合でしょうか。

田中さん「冬季うつがひどくなって数週間以上も寝込めば、季節性うつ病と診断されるかもしれません。うつ症状と、先述した『季節型の特徴』がみられ、日常生活に支障が出たら、ぜひ精神科の外来を受診してください」

Q.春になると自然治癒するものなのでしょうか。その場合、また冬になると再発する可能性があるのですか。

田中さん「冬季うつは原則的に、春になれば自然治癒します。春になってもうつの状態が長引くようであれば、別の原因によるうつ病を発症している可能性がありますので、精神科外来で診察を受けるようにしてもらえればと思います。また、残念ながら、冬季うつは再発することが少なくありません。しかし、次のような予防策がありますので、各自試みてください。

もともと『秋から冬にかけて、いまいち調子が出ない傾向』がある人は、季節性うつ病を発症するリスクが高いと考えられます。予防策の第一としては、日照時間が短くなってくる秋のうちから、日光を浴びるようにしておくことです。冬になり、寒くなってきても面倒くさがらずに、意識的に(手帳などを使って計画して)外出するとよいかもしれません」

(オトナンサー編集部)

田中伸一郎(たなか・しんいちろう)
医師(精神科専門医)・公認心理師

1974年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。赤光会斎藤病院、東京大学医学部付属病院精神神経科、杏林大学医学部精神神経科学教室などを経て、現在は、獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科准教授。「誰もがこころの問題を理解し、互いに助け合うことのできる社会づくり」を目指し、精神医療の最前線で老若男女の患者を日々診療しながら、メディアを通じて正しい知識を普及すべく活動の場を広げている。

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気象病に関する気象用語

晴れているのに気圧が下がるのはなぜ?【気象予報士が解説】


みなさんは、“低気圧”と聞くとどのようなことをイメージしますか?

「雨が降ると気圧が下がる」
「低気圧は、雨のせい」

頭痛ーるを利用されている方は、こんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「雨の日と気圧の関係」と「晴れているのになぜ気圧が下がるのか」について解説していきます。

雨の日と気圧の関係


気圧が大きく下がる時に、低気圧や台風が接近していることが多いことは、お気づきの方も多いかと思います。
では、なぜ低気圧や台風が接近すると、気圧が下がったり、雨が降るのか。

それは、低気圧や台風は多くの水蒸気を含んでいるためです。低気圧や台風が接近することで、多くの水蒸気が流れ込み湿度が上昇して雲が広がり、雨が降ります。よって、気圧が大きく低下するときは湿度が高くなり、雨が降ることが多くなるというわけです。

台風の場合は、水蒸気だけでなく南からの暖かい空気を一緒に運んでくるため気温を上昇させます。低気圧の場合でも、日本海を低気圧が発達しながら東へ進むようなときは、低気圧の南側で南からの暖かい空気が流れ込むため、雨が降っても気温が比較的高くなります。

どうして晴れていても気圧が下がる日があるの?


では、なぜ晴れの日でも気圧が下がる日があるのか。
晴れの日には、雨の日とは違い、高気圧が気圧の変化に影響してくる場合があります。

春~秋頃、青空の多い晴れた日は日中に気温がより高くなりますよね。

このような日は太陽の日差しによって地面付近の空気が暖まり、その空気が上昇し続けることで上昇気流が発生します。この上昇気流を補うように、地表付近の空気(風)が集まります。上昇気流の発生により、地面付近の気圧が一時的に下がる、つまりこれが、晴れの日でも気圧が下がる原因というわけです。

「昼間は晴れていたのに夕立が発生した」
「夏はゲリラ豪雨がよくある」

このように感じる方が多いのも、この気温と湿度による影響が関係しているからです。上空に寒気が流れ込んでいると上昇気流がより強まって雷雲まで発達し、雷雨となることもあり、それが夕立やゲリラ豪雨として現れます。

いかがでしたか?

「気温」「湿度」「気圧」は、それぞれ独立した要素として考えられがちですが、それぞれが関係性を持って気圧の変化に影響を与えていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

雨の日でも、晴れの日でも関係なく気圧は変化する可能性がありますから、1年を通して注意が必要です。ぜひ頭痛ーるを活用して事前の体調管理にお役立てくださいね。

この記事の監修者


飯山隆茂
飯山 隆茂
気象予報士/健康管理士
気象予報士として25年以上にわたり気象情報の提供に従事。頭痛ーる開始後からサービス追加に関わり、健康管理士取得後は気象と健康の両面から健康管理の普及に努める。