まだまだ寒い日が続いています。残りの冬を元気に、健康的に過ごすには防寒対策が欠かせません。防寒と言えば「重ね着」が真っ先に思い浮かびますが、その重ね着についてSNS上などで、「重ね着は肌に軽くフィットする長袖シャツ、空気を多く含んだセーター、厚手のダウンやコートの3枚が理想的」との意見が話題になっています。重ね着のしすぎは血行を悪くし、冷えの原因になる、という理由からです。
これについて「着込んだら逆効果なのか」「着込んでも寒い時あったけど、着方がよくないのか」などと驚きの声が上がっていますが、重ね着のしすぎは実際に、冷えの原因となるのでしょうか。医師の市原由美江さんに聞きました。
すき間にある空気が体温で温められる
Q.重ね着をしすぎると血行が悪くなり、冷えの原因になるのは本当ですか。
市原さん「体が締め付けられるほどの窮屈な重ね着をすると血行が悪くなり、冷えの原因になりえます。温かさとは本来、服のすき間にある空気が体温によって温められることで感じるものです。しかし、締め付けられるほどの重ね着の場合、空気の層が少なくなると考えられるため、重ね着のわりに温かさを感じにくいでしょう。一方で、汗をかくほどの重ね着をすると、汗が蒸発する際に体の熱を奪うので冷えの原因になります」
Q.長袖シャツ、セーター、厚手のダウンかコートの組み合わせは理想的でしょうか。
市原さん「前述の通り、温かさは服のすき間の空気が体温で温められることによって感じられます。この空気の層を多くして、さらに保持するためには風を遮断する素材の上着を着ることがポイントです。この組み合わせは理想的だと言えるでしょう」
Q.その他、身に着けるものに関して防寒対策に逆効果のものがあれば教えてください。
市原さん「使い捨てカイロは寒い時に大変便利ですが、寒いからと言って体中に貼ると、温めすぎて汗をかき、汗が蒸発する際に体の熱が奪われて冷えてしまう場合があります。使い過ぎに注意しましょう」
(オトナンサー編集部)
市原由美江(いちはら・ゆみえ)
医師(内科・糖尿病専門医)
横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。